ひとこと 組織における適切な協議 弁護士 太田黒 昔生
《最近の労働判例》
1 税務署職員が,加重勤務を原因とする狭心症を発症し,これに起因する後遺障害を負う状態となったとして,国家公務員災害補償法に基づく障害補償及び国の安全配慮義務違反に基づく損害賠償を求めたが,過重勤務と狭心症発症との間の因果関係及び国の安全配慮義務違反は認められるものの,狭心症の増悪及び後遺障害は認定できず,これに伴う障害補償及び国の安全配慮義務違反は認められないとした上,狭心症発症に関する国の安全配慮義務違反に基づく損害賠償請求権は消滅時効が成立しているとして,原告の請求が棄却された事例 【安全配慮義務】(税務署職員公務災害確認等請求事件・広島地裁 平成20年11月5日判決)
2 県立病院事業庁の職員が,酒気帯び運転を理由に懲戒免職処分となったことにつき,通常程度の睡眠時間をとった後の運転であることや交通事故には至っていないことなどから,悪質さの程度は低いと判断でき,同処分は重きに失し,社会通念上著しく妥当性を欠き,懲戒権を逸脱・濫用したものであると認められるとして,同処分を取り消した事例 【職場外非行】(県立病院事業庁職員懲戒免職処分取消請求事件・津地裁 平成21年3月11日判決) |